HoloLens買って考えた、2020年SNSの終わり


PAAK。このゲームでは、部屋をスキャンして、家具の配置によって登場人物の姿勢や配置が変化します。

2000年代のSNSの、本来そうであったであろう以上の大成功の理由は、コンテンツよりもスマホという媒体によるものではないかと、HoloLensを使いながら考えました。

人から数十センチの距離は、親密(intimate)な距離(*)と呼ばれています。この領域にスマホが入り込んでしまったせいで、スマホによって与えられるあらゆるモノが、あらかじめ親密なモノとしてタグ付けされてしまっているのではないかと思うのです。スマホはメディアであると同時にメディアのメディアでもありますが、いつの間にか、片時も手放すことのできないものになってしまっています。
人はスマホを手放すことに不安を覚えるようになり、シェアされたニュースを信じやすくなり、記事と広告の区別をつけられにくくなっています。密接距離の内側、親密な人だけが入り込むことのできる領域でメディアとのコミュニケーションが行われることで、本当はそうであるよりも重要なものだと誤認されてしまうのです。(Intimateには性的なニュアンスもあります)

距離の近さがコミュニケーションを親密なものと誤認させる

来たるべきARメガネの時代は、物理的存在としてのスマホは姿を消します。(初期はスマホと併用でしょうが)コンテンツが目の前にあるという点では、未来になっても大きな変化はないかもしれませんが、その方がたくさんの情報を俯瞰できるからと言う理由で、その距離はパーソナルスペースの外側になるはずです。

HoloLensでオブジェクトを置く距離は85cm以遠が推奨されている。

という仮説が正しければ、人々は再びそうあるべき態度でメディアやコンテンツと接するようになるのでしょう。
そして、特に大きな影響を受けるのは、誤認によって最大のメリットを享受してきたSNSやLine的コミュニケーションやメルカリなど(またはソシャゲ)です。(もちろん、人々はつながり、話をし、写真を見せ合うでしょうが、今のような憑かれた感じは無くなります)

そんな時代にどんなコミュニケーションがデザインできるのか、失われる生態系の代わりにどんな生態系を考えるのか、facebookが気づいてないだろう、新しい生態系でどんなアプリやビジネスモデルがありうるのか、などを考えるのは非常に楽しい作業でした。これはHoloLensを買ったおかげです。

もちろん、VRもARもずっと期待して待ちわびてきた側としてはHoloLensによるMRもテレプレゼンスも、情報としては想像通りではありますが、実際にいじってみると触感はいろいろ違います。(しかもUnityでの開発の容易さ)このプロトタイプの延長線上に未来はあります。

HoloLensおすすめです。

(*)(日本語訳では密接距離と訳されていますが、親密という言葉を使いました。)