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HoloLens開発をMacで


Mac+VMWareでもできました。

HoloLensを持ち運ぶようになって、リュックを使わなきゃならなくなった上に、Windowsノートまで合わせると12kg、家とオフィスとPAAKを周回する生活を送っているので、ちょっとこれはつらい。

最初はMacのUnityでもできるんじゃないの?と思って試したのですが、ダメでした。
これが出てこないのです。


ググってみつけたのはPalallelsを使うこちら。
HoloLensアプリをMac環境で開発・実機で動作確認
Palallelsも家のiMacにはインストールしてあるんですが、ノートにはVMWare(Fusion)しか入れてないし、この中で環境を整えていたので、なんとかVMWareで使えないかとトライしてみました。
VisualStudioのインストールには苦労しました。途中で止まってしまうのです。最初は原因がわからなかったのですが、ディスク容量の不足によるものだったみたいです。
これを回避するにはVMWareの設定画面で容量を増やし「事前にディスク容量を割り当てる」にもチェックしておきます。
ただ、このままだとWindowsの中に新しいパーティションができただけで、Cドライブの容量は増えないので、パーティションを統合する必要があります。
パーティションサイズを増やすと、すんなりインストールできました。(Macと違ってWindowsは簡単にはパーティションサイズを変えられないのでMinitools Partition Magicを使いました。)

HoloLensの接続とデバッグは、USBでもWifiによるRemote Machineでもいけます。

DevicePortalもMacからもWindowsからも接続できます。ただ、ストリーミングはWindowsのみ。HoloLensのIPアドレスの設定が出ない場合や、環境によって変わってしまったたときはDebug>Project名 Propertiesから設定します。

まとめ

  • ディスクはあらかじめ割り当てる
  • 割り当てたディスクはもとのパーティションと統合する
  • USB接続もRemote Machineでワイアレスデバッグもできる
  • IPアドレスが変わったときはDebug>Project名 Propertiesから設定
  • Holographic Remoting Playerは今のところうまく動きません。
  • 最新MBPでもやっぱり遅い

HoloLens買って考えた、2020年SNSの終わり


PAAK。このゲームでは、部屋をスキャンして、家具の配置によって登場人物の姿勢や配置が変化します。

2000年代のSNSの、本来そうであったであろう以上の大成功の理由は、コンテンツよりもスマホという媒体によるものではないかと、HoloLensを使いながら考えました。

人から数十センチの距離は、親密(intimate)な距離(*)と呼ばれています。この領域にスマホが入り込んでしまったせいで、スマホによって与えられるあらゆるモノが、あらかじめ親密なモノとしてタグ付けされてしまっているのではないかと思うのです。スマホはメディアであると同時にメディアのメディアでもありますが、いつの間にか、片時も手放すことのできないものになってしまっています。
人はスマホを手放すことに不安を覚えるようになり、シェアされたニュースを信じやすくなり、記事と広告の区別をつけられにくくなっています。密接距離の内側、親密な人だけが入り込むことのできる領域でメディアとのコミュニケーションが行われることで、本当はそうであるよりも重要なものだと誤認されてしまうのです。(Intimateには性的なニュアンスもあります)

距離の近さがコミュニケーションを親密なものと誤認させる

来たるべきARメガネの時代は、物理的存在としてのスマホは姿を消します。(初期はスマホと併用でしょうが)コンテンツが目の前にあるという点では、未来になっても大きな変化はないかもしれませんが、その方がたくさんの情報を俯瞰できるからと言う理由で、その距離はパーソナルスペースの外側になるはずです。

HoloLensでオブジェクトを置く距離は85cm以遠が推奨されている。

という仮説が正しければ、人々は再びそうあるべき態度でメディアやコンテンツと接するようになるのでしょう。
そして、特に大きな影響を受けるのは、誤認によって最大のメリットを享受してきたSNSやLine的コミュニケーションやメルカリなど(またはソシャゲ)です。(もちろん、人々はつながり、話をし、写真を見せ合うでしょうが、今のような憑かれた感じは無くなります)

そんな時代にどんなコミュニケーションがデザインできるのか、失われる生態系の代わりにどんな生態系を考えるのか、facebookが気づいてないだろう、新しい生態系でどんなアプリやビジネスモデルがありうるのか、などを考えるのは非常に楽しい作業でした。これはHoloLensを買ったおかげです。

もちろん、VRもARもずっと期待して待ちわびてきた側としてはHoloLensによるMRもテレプレゼンスも、情報としては想像通りではありますが、実際にいじってみると触感はいろいろ違います。(しかもUnityでの開発の容易さ)このプロトタイプの延長線上に未来はあります。

HoloLensおすすめです。

(*)(日本語訳では密接距離と訳されていますが、親密という言葉を使いました。)

キズナアイをTangoのMRで見てみる。Unity+TangoSDK+キズナアイ

初のGoogle TangoデバイスLenovo Phab2プロをUnityでいじってみました。

MRとARの境目は曖昧なのですが、これまでによく見かけたかざすと浮き出るタイプのARはマーカーを基準に画像を表示させるため、マーカーが視界の外に出るとモデルは非表示になってしまっていました。このデバイスでは三つのカメラを使って空間のモデルを構成し、そこにモデルを関連づけます。だから、ここではやっていませんが、机の陰に入るとモデルが見えなくなると言うことも可能なのです。

昨日公開されたばかりのキズナ・アイちゃんを配置してみたんですが、アニメーションがうまくつかなかったので、こちらの映像のはUnityAssetから。


発売されたばかりであんまりドキュメントとかはないんですが、これならほとんどコードを書かなくても実現できます。Google Tango SDK

一枚の写真で見るとこれまでのARと変わらないし、回り込めたりスカートを下から覗いたりできるというのもViveで実現できることです。ですが、実際にやってみると想像以上のものがありました。想像の世界が背景の現実の世界によってより強められ、実在感が強められるのです。ハードウエア自体は後数年でVR/AR/MRを兼ねたものになるはずですが、体験の方は少し違うようです。

吸血鬼や幽霊が鏡にうつらないのは物理的現実を超越した想像的世界の住人だからですが、逆に、VRの世界では、プレーヤーである僕たちの方が、半透明な曖昧な存在です。
VRの世界では、僕たちは自分を鏡で見ることはできないからです。

今日試してみたキズナアイちゃんやAoiちゃんは同じ空間にはあるけれど、鏡に映らない存在です。だからこそいっそう魅力的であり、パンツの存在を確かめたくなるのかもしれません。

(鏡と想像界とくればラカンですが、別の機会に書きたいと思います)

追記(27日)
これを書いた後、アルスエレクトロニカでデバイスの評価を読みました。酷評ですw

 

 

 


MR美少女は鏡にうつらない


鈴木さんと。撮影はすごくお世話になっているPAAKで。

https://twitter.com/techlabpaak/status/813302580302385152